兄貴がイケメンすぎる件

「!」



…けん…


そしてあたしが健の言葉に感動していると、健がまた二階にいる翔太に言う。



「な、今までの世奈のプレー、お前しっかり見ただろ?」

「うん」

「世奈は、こんなフラフラになってまでお前と一緒にいたいんだよ。確実に、俺じゃなくて早月が相手じゃなきゃダメなんだって」

「…そうみたいだね」



健のそんな言葉に、翔太の返事が微かに返ってくる。

その直後に翔太と目が合った気がして、あたしはまた泣きそうになってしまった顔をうつ向かせた。


…ただでさえボロボロになってるのに、好きな人の前でこれ以上ボロボロになりたくない。


しかしあたしがそう思っていると、翔太は手すりから腕を離して…

やがて階段を使ってあたし達がいるところまでたどり着くと、ふいにあたしを見てふっと笑った。



「…っていうかさ、」

「え、」

「すんごいボロボロになっちゃってるね、世奈ちゃん」

「!」



翔太はそう言うと、今は感動のシーンのはずなのに、頑張った彼女(あたし)に対して笑い出す。



「大丈夫!?髪もボサボサだけど!」

「…~っ、」

< 267 / 386 >

この作品をシェア

pagetop