兄貴がイケメンすぎる件
そう言われてあまりにも笑われるから、あたしは手ぐしで慌てて髪を整えながら、言った。
「っ…だ、だってしょうがないじゃん!負けたくなかったけど健強いし、時間だってだんだん迫ってくるし、容姿なんて気にしてるヒマないもんっ」
「…」
「あ、あんなに頑張ったのに酷いよもーっ」
あたしはそう言うと、動いている間に少し乱れてしまった自身の制服も、慌てて整える。
だけどそうしているうちに、翔太が首を横に振って言った。
「んーん。そうじゃなくて、嬉しかったよ」
「!……え?」
「あんなにフラフラになってまで相沢さんに勝とうとしてる世奈ちゃんを見て、僕は何回助けに行こうとしたことか…。
それに、今朝とかいろいろ世奈ちゃんのことで悩んでた自分が、すごいバカみたい。
そんな不安がらなくても、世奈ちゃんはこんなに僕のことを想ってくれてたのにね」
翔太は優しい口調でそう言うと、少しビックリしているあたしの頭を優しく撫でる。
それって…
「…じゃあ翔太、またあたしと付き合ってくれるの?また一緒に居れるの?」
だってその言い方って、信じてもいいよね?
あたしがそう思いながら問いかけたら、翔太はすぐに頷いて言ってくれた。
「もちろん」
「!」
「もうこれからは、世奈ちゃんが嫌がっても離さないよー」