兄貴がイケメンすぎる件

兄貴は翔太のそんな言葉を聞くと、冗談交じりにそう言って笑う。

その様子に、あたしは改めて「よかった」と安堵する。


これからは、いちいち不安がる必要もないんだ。


そう思うあたしの前で兄貴と言葉を交わす翔太は、終始凄く嬉しそうな顔をしていた。




******




「なーんか落ち着いたね、翔太くんの女子人気」

「…うん、そだね」



そして、それから数日後。

教室で珍しく男子生徒と騒ぐ翔太を見て、美桜がそう言った。

ちなみに、今は昼休み。

あたしと美桜は、廊下の壁に寄りかかりながら、教室の中にいる翔太を眺めている。


翔太と結局また付き合うことになったあの日から、翔太の意思で周りの女子達が翔太に言い寄らなくなったのだ。

だから今はもう、翔太のモテモテな姿を見て、あたしが嫌な気分になることもほとんどない。

するとそんな翔太を見た後に、美桜が今度は廊下の窓から見えるグランドを見て、言った。



「でも、代わりに相沢くんの人気がグンと上がったよねー」

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