兄貴がイケメンすぎる件

「…、」



その言葉に、あたしもチラリ…と窓からグランドの方に目を遣る。

その時視界に入ってきたのは、昼練をしている健の姿。

近くでそんな健を見ながら、たくさんの女子達がキャーキャー言ってる。


…確かに、人気上がったな。


あたしはそう思いながらも、隣にいる美桜に言った。



「どーせ、翔太ファンが何人か健に流れてったんでしょ。健は彼女いないし」

「ははっ、だろーね」

「でも確かに、凄いモテよう」



そう言って、グランドのその様子を遠くから見つめる。

確か噂では、健は最近じゃ毎日のようにラブレターを貰っていると聞いた。

…ま、あたしもここ数日健と会話してないからわからないけど。


でも、健にもちゃんと幸せになってほしい。

あたしのせいで、凄く辛い思いをさせてしまったから。


あたしは独りそう思うと、やがてそのグランドから目を背けて翔太に視線を戻した。


すると…



「……かっこいい」

「え?」



その時、美桜が相変わらずグランドを見ながらふいにそう呟いた。

でも、あたしには何て言ったのかがよく聞こえなくて。

「何?」って聞き返したけれど、美桜は少し顔を赤くしたまま教えてはくれなかった。


……何て言ったんだろう?

まぁいいけど。
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