兄貴がイケメンすぎる件

…………


放課後。

あたしは用事があって、職員室に寄ってから翔太と帰る約束をしていた。

少し時間がかかると言ったけど、翔太が「待ってる」って言うから教室で待ってもらうことに。

でも、用事が終わったのが予想以上に遅くて。

時計を見ると、もう18時。翔太を二時間も待たせてしまっていた。



「ヤバッ…!」



時間を見て慌てて教室に戻ると、教室はまだ明るく電気がついてて。

あたしがすぐに「翔太!」ってそこに顔を覗かせると…



「……」



一方の翔太は、意外にも自分の席で爆睡をしていた。


…あ、なんだ。寝ちゃってるのか。

って、そうだよね。長かったもんね。


そう思って、あたしは翔太の前の席に座って彼を起こそうとしたけれど…

その寝顔があまりにも可愛くて、思わず起こそうとしていたのを直前で止める。


…長い睫毛。綺麗な肌。

ほんとにまるで、小動物が寝てるみたい。


あたしがそう思いながらクスクス笑っていると、

その時すぐ近くに置いてある翔太の携帯が鳴って…


……メール?



「?」



そう思いながらも…別に、見るつもりはさらさら無かったんだけど。

チラ、と画面に目を遣ったら…そこには何故かあたしの知らない女の人の名前が、表示されてあった。



“結菜(ゆいな)”……?

って、誰?

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