兄貴がイケメンすぎる件

「!!い、いやっ…これは、あのっ…!」

「……」

「えっと…その…」



あまりに突然翔太が目を覚ましてそんなふうに声をかけるから、あたしは全然気づかなくて思わずスマホを落としそうになる。

だけどなんとかキャッチしてしっかり受け止めると、目を遣った先には真剣な表情をした翔太がいて。


…ま、まずい。


そう思いながら、とりあえずあたしが「ごめんね」ってスマホを返そうとしたら、受けとる前に翔太が言った。



「僕のそれで何してたの?何を見たの?」

「あ、いやっ…」

「正直に言って」

「…、」



翔太はそう言うと、いつになく真剣な顔であたしを見る。

…何かを言って誤魔化そうとしたけれど、きっともう無理だ。手遅れ。

あたしは翔太のスマホを机の上に置くと、ドキドキしながら言った。



「…結菜って人から、L○NEがきたから」

「!!」

「結菜さんって、誰かなぁって…思って」



あたしは沈んだ声でそう言うと、「ごめんね」って頭を下げる。

…うわ、やってしまった。

人の携帯見るとか、やっちゃいけないってわかってたのに。

だって、浮気してたらどうしようって、不安になったんだもん。


すると、あたしがそう思いながらしばらく翔太の言葉を待っていたら、やがて翔太が盛大なため息とともに机の上にうなだれた。



「はぁーっ…マジかよもー」

「!」

「世奈ちゃんには知られたくなかったんだけどな…」

「…?」

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