兄貴がイケメンすぎる件
翔太はそう言うと、悲しい顔をするあたしに再度「ごめんね」って謝る。
…まぁ、いいけどさ。
あたしも、翔太のその隠したくなる気持ちがわかるから。
でも、
「じゃあ今度、結菜さんにも会ってみたいな」
「!?」
「だってせっかく知ったんだし。それに、写メを見ただけでもすっごく美少女だしさ」
あたしは何も知らずにそう言うと、暢気に翔太に向かって微笑む。
だけど翔太は、
「だめ」
「!」
「結菜は見た目は良いけど性格が物凄く悪い。普段から僕にベッタリな分、世奈ちゃんを紹介したらアイツ世奈ちゃんに何するか…。
第一、それが怖くて彼女が出来たってこともまだ報告してないわけだし」
鋭い口調でそう言うと、口を尖らせた。
…翔太がそんなに怒るなんて珍しい。
ってことは、相当なんだな…。
あたしはそんな翔太の言葉を聞くと、今は素直に頷いて言うことを聞くことにした。
…何だかこれから先もまだまだ試練がありそうだけど、あたしは出来るなら翔太とずっと一緒にいたい。
どんなことがあっても二人で乗り越えるし、不安があっても立ち止まったりしないんだ。
「…帰ろっか」
「うん、そだね」
あたしはやがて翔太と教室を後にすると、二人で手を繋いでようやく学校を出た───…。
『兄貴がイケメンすぎる件』
【完】