兄貴がイケメンすぎる件
…………
…はぁ、やっぱりダメだった。
まぁわかってはいたけどね。
兄貴がマンションを後にすると、あたしもため息交じりに友達に会う支度を始めた。
今日は数人の女友達と遊ぶ予定で、美桜の家でお菓子を囲って女子会を開く日。
さっき兄貴がくれた千円は、そのお菓子代だ。
「はぁ…」
あたしはもう何度めかわからないため息を吐くと、一生懸命書いた履歴書を部屋の机の中に仕舞った。
…学校の許可はとったから、あとは兄貴だけ。
兄貴だけなのに…。
だって、あたしの勘違いじゃなければ翔太はきっと今アレが欲しいはずなのだ。
この前のデートで、気になったんだ。
ショッピングモールで、“ある商品”をずーっと見つめていたから。
「…よし、あとはまた夜に言ってみよう」
あたしは一人そう決心をすると、やがてマンションを後にした。