兄貴がイケメンすぎる件
だけどもちろん、昔みたいに楽しく雑談をしながら帰るわけもなく、
気がつけば隣同士にも並ばずに、あたし達は離れて歩いていた。
あたしが健の前を歩き、その後ろを健が少し距離を置いて歩いている。
そしてしばらく歩いていると、マンションのすぐ近くまで着いて、あたしはふいに健に呼ばれた。
「世奈」
その声に、なに、と振り返る。
名前を呼ばれたのは、いつぶり?
少し懐かしさを感じていたら、健があたしに何かを言いかけた。
「あのさ、俺…」
…でも。
「あ、世奈ちゃん!!」
その声は、ある人物によってすぐに遮られた。