兄貴がイケメンすぎる件

でも…………大丈夫だよ。

きっと…いや、絶対に大丈夫。


僕は世奈ちゃんの横で必死にそう自分に言い聞かせるけれど、でも心の中の不安は小さくならない。

むしろそれは大きくなる一方で…僕は世奈ちゃんにチラチラ視線を送りながら、やがて静かに決意した。


………放課後、世奈ちゃんを尾行しよう。



…………



そして、その放課後。

ようやく全ての授業が終わり、SHRも終えた僕は、世奈ちゃんと別れるふりをしてこっそりその後をつけた。

…その途中の校内で、よく他の女の子達から「翔太くん翔太くん」と囲まれそうになったけど…

僕はそれを無事に回避して、必死に世奈ちゃんの背中を追う。


生徒玄関に来た時、世奈ちゃんが靴を履き替えたのを見て、僕も急いで革靴に履き替えた。


しかし…



「…あ、オイ早月、」

「!」



その時…僕は物凄く聞き覚えのある、嫌な声に名前を呼ばれた。


……相沢さんだ。

< 334 / 386 >

この作品をシェア

pagetop