兄貴がイケメンすぎる件
でも…………大丈夫だよ。
きっと…いや、絶対に大丈夫。
僕は世奈ちゃんの横で必死にそう自分に言い聞かせるけれど、でも心の中の不安は小さくならない。
むしろそれは大きくなる一方で…僕は世奈ちゃんにチラチラ視線を送りながら、やがて静かに決意した。
………放課後、世奈ちゃんを尾行しよう。
…………
そして、その放課後。
ようやく全ての授業が終わり、SHRも終えた僕は、世奈ちゃんと別れるふりをしてこっそりその後をつけた。
…その途中の校内で、よく他の女の子達から「翔太くん翔太くん」と囲まれそうになったけど…
僕はそれを無事に回避して、必死に世奈ちゃんの背中を追う。
生徒玄関に来た時、世奈ちゃんが靴を履き替えたのを見て、僕も急いで革靴に履き替えた。
しかし…
「…あ、オイ早月、」
「!」
その時…僕は物凄く聞き覚えのある、嫌な声に名前を呼ばれた。
……相沢さんだ。