兄貴がイケメンすぎる件
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世奈 side
翌朝。
初めてバイトをした、その翌日。
なんとなく嬉しい気分で学校の教室に入ると、そこには先に翔太が来ていた。
「おはよー、翔太」
しかしなぜか翔太は、スマホを弄るわけでもなく、女子達に囲まれているわけでもなく、ただ自分の席で何もせずにただ座っている。
しかも、あたしの声にも特に反応しないまま…こっちを見ようともしない。
「…?」
聞こえなかったのかな?
だけど、席はすぐ隣だし、そんなわけなくて。
「翔太ぁ」
「!」
「おはよ」
あたしがそう言って、翔太の顔を覗き込むと…その時よくやく、まともに目が合った。
しかし…
「…世奈ちゃん」
「?」
「ちょっと来て」
「!」
翔太はあたしと目が合うなり、珍しくその目を怒ったように細めると…低い声でそう言った。
そして、あたしが返事をする隙もなく、あたしの手首を乱暴に掴むと…
「え、ちょっと翔太…!?」
そのまま、あたしを連れて教室を後にした。