兄貴がイケメンすぎる件

……………


翔太 side


「…はぁ」



そしてその後、全ての授業が終わり、放課後。

僕は独り、屋上にいた。


世奈ちゃんに別れを告げたあれから、世奈ちゃんは全部の授業には出なかった。

僕は3限目から出たけれど、もう別れてしまった相手だから…関係ない。



「…はぁ」



…とは言え、さっきから口からこぼれ出るのは深いため息ばかり。

もちろん、世奈ちゃんに別れを告げたことは後悔している。

つい嫉妬しまくった上に、勢いで言ってしまった言葉だから。


…世奈ちゃん、泣きじゃくってたな。

あの時の世奈ちゃんを思い出すと…………もう…。


僕はそう思うと、もう何度目かわからないため息を吐いた。



「…はぁ」



しかし、その時…



「…?」



ふいに、屋上の出入口のドアが開いて…ここに誰かが上がってきた。

突然の誰かの登場に、「世奈ちゃん?」とつい反応してしまったけれど…やって来た相手は、相沢さんで。


…なんだよーお前かよー。


僕はそう思って少しガッカリしつつ、また「…はぁ」とため息を吐いた。

しかしそのため息のあと、相沢さんがそのまま僕の隣にやって来て言う。



「なぁ。お前さ、後ろ姿が死んでんだけど」

「……」

「人生に疲れたサラリーマンみたいだぞ」

「……」

「おーい」

「……」



…うるさい。


僕はいろいろな言葉で話しかけてくる相沢さんにそう思いつつも、返事をするような余裕がなくて黙ったまま。

しまいには「早く部活行けよ」等思っていたら、ふいに相沢さんがまた口を開いて言った。



「…なぁ。お前に重要なこと教えてやろうか」

「……」

「世奈がバイトしてんぞ。すげー怪しいバイト」

「……は?」

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