兄貴がイケメンすぎる件

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世奈 side


翔太に別れを告げられた。

だからあたしは今朝から、何もやる気が起こらなくて。


あれから全ての授業をサボって泣きまくったあたしは、結菜さんに連絡をして、バイトをもう止めることにした。

だけど、今日だけはもうバイトの予定が入ってしまっているから、行かないわけにはいかないらしい。


…まぁ、プレゼント代は簡単に貯まったし。

でも…あげる相手にフラれちゃったけど。



「…はぁ」



あたしはそう思いながら深くため息を吐くと、やがて昨日と同じ待ち合わせの店の中へと入った。

「いらっしゃいませー」と言われながら店内の奥へと進むと、そこにいるのは昨日と同じ男の人。

こうやってカフェや喫茶店で待ち合わせをして、そこで雑談をするだけでバイト代が稼げるんだから凄い話だと思う。


………思う、けど。



「お待たせしてすみません、」

「いや、いいんだよ。僕も今来たところだし」



……バイトが決まった時に見た健の様子や、今朝の翔太とのやり取りを思い出すと…いたたまれなくなる。

今日は…早く帰りたい。


だけど、そうは思っていても、バイトはバイト。

相手の人にそういう態度を見せるわけにはいかない。


あたしはなるべく昨日と同じ態度で接すると、明るい笑顔を浮かべた。


…因みに、男の人の年齢はあたしより一回り年上の27歳。

わりと感じの良い人だけど、タバコを吸う人らしく、結構タバコ臭い。常にその臭いがする。

体系的には少しぽっちゃりめで、目が悪いのか黒渕眼鏡をかけた人だ。


昨日初めて会った時は、名刺を見せられた。

大手企業のなかの課長だ、と。

………よくわからなかったけど。


そして今日もいろんな話をして、二人で盛り上がる。

本当に他愛のない話。

小さい頃の思い出や、学生の時の話。あたしの学校生活の話…等。

だいたい数時間くらい話して、そこでお別れ。

たったそれだけのバイトだ。何もやましいことなんてない。


だから、今日も…



「では、今日はこの辺で」



すぐに終わるはず…だった。


しかし…そのお店を出た外であたしがそう言って会釈をすると、その人が言った。



「ええ~。もう終わり?」

「?」

「世奈ちゃんって、今日で終わりなんでしょ?だったらもう少し付き合ってよ」

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