兄貴がイケメンすぎる件
「!」
えぇ!?
「…だって、いつも世奈ちゃんが隣にいるし。ずっと言ってるけど、僕はほんとにそれだけでいつも幸せなんだよ」
翔太はそう言うと、「だから、誕生日プレゼントはいらない」って笑顔を浮かべる。
一方、その言葉を聞いたあたしは、思わず少し顔を赤らめるけど……でも、それは何だか納得がいかない!
何かあげたい。自分の気持ちがはっきり表せるような、何かを…。
あたしはそう思うと、翔太に言う。
「ん~…でもさ、何かないの?あるでしょ?欲しいものくらい、いっぱい!」
「え?……んー…」
「あたしだったらあるけどなぁ。
最近ポーチが汚れてきちゃったから、新しいの欲しいし、BBクリームなくなっちゃったから新しいの欲しいし、そろそろ春服買わなきゃだし、ケーキ食べたいし」
……うわ、言い出したらキリがない。さすがに引かれそう。この辺でやめておこう。
「っ…と、とにかく、何かあるでしょ?何か言ってよ!何でもいいから!」
「……」
そしてあたしが半ば強引に聞き出そうとすると、そのうちに何かを思い付いたらしい翔太が、言った。
「……じゃあ、」
「?」
「世奈ちゃんが、ほしい」
「!」
「何でもいいんでしょ?だったら、世奈ちゃんのこと、僕にちょーだい?」
翔太はニッコリ笑顔を浮かべてそう言うと、右手をあたしの顎に添えて、それをクイ、と上げる。
「…!?」
…あたし!?
あたしはその翔太の言葉を聞くと、思わずビックリしてその場に固まってしまう。
爽やかな笑顔浮かべてるけど…結構スゴイこと言ってるよね!?
だって、その言葉の意味ってつまり…
…あたしが翔太の言葉にそうやって悶々と考えていると、そのうちに翔太が言った。
「……冗談だよ、世奈ちゃん。本気にしなくていいから」
「…」
「こういうの、漫画とかでもよくあるでしょ?大丈夫、言ってみただけだから気にしないで」
翔太はそう言うと、「着いたよ」とようやく到着したあたしのマンションを指差す。
でも…
「…世奈ちゃん?」
「……っ」
一方のあたしは、その場に固まったまま、まだ動かない。
だけどこの少しの間で覚悟を決めると、あたしは翔太に言った。
「…いいよ」
「……え」
「翔太にあげる」
「!」
あたしはそう言うと、真正面から翔太に抱きついて…。