兄貴がイケメンすぎる件

……でも。


あたしがそう言うと、その言葉にビックリしたらしい翔太が言った。



「っ、だ、ダメだよ世奈ちゃん!何言ってんの!」

「!」

「あくまで冗談だから。本気にしちゃダメ。また世奈ちゃんが怖い思いするでしょ?」



翔太はそう言うと、微かに頬を赤くさせながら、自身の体からあたしを離す。

だけど…



「…あたしは、」



そうやってまたあたしが口を開いた時、それを遮るように翔太が言った。



「あ、わっ…わかった!手料理!」

「…え?」


「僕、世奈ちゃんの手料理とか食べてみたい!ほら、独り暮らしだとコンビニで済ませちゃったりとかするし、手料理を食べる機会とかなかなか無いじゃん。

だから、僕の誕生日に簡単なものでいいから世奈ちゃん何か作ってよ」



翔太はそう言うと、「お願い」と誤魔化すようにニッコリ笑う。

でも……手料理、か。

あたしは少し考えると、その言葉に頷いた。



「…いいよ。何が食べたい?」

「じゃあ──…」



…ただ、あたし。

まともに料理とかしたことないんだけどね。


だけど翔太が「ハンバーグが食べたい」ってリクエストしてきたから、

あたしはそのお願いに笑顔で頷いた。


任せて、と。

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