兄貴がイケメンすぎる件





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そして、ようやくやって来た3月18日。

今日は翔太の誕生日。



「うわっ、ヤバッ…!」

「どうしたの?」

「っ、ううん!何もない、大丈夫!」

「?」



当日に翔太のマンションに来ていたあたしは、約束通りにキッチンを借りてハンバーグを作っていた。

…だけど、ハンバーグのタネを作っていたら、思わず塩コショウがドバッと大量に入ってしまい……

……大丈夫かな。

独りキッチンで慌てるあたしに、翔太は後ろで不安そうだけど……今日は助けを借りずに美味しいハンバーグを作ってあげたい。

だからあたしは、さっきからリビングで落ち着かないらしい翔太に言った。



「翔太はゆっくり座って待ってて。頑張って作るから」

「いや、でも何か心配でさっきから落ち着かな…」

「大丈夫大丈夫。心配しないで。結構練習したんだもん」



…そう。あたしはこの日のために、ハンバーグの作り方を兄貴に直接習って、いっぱい練習してきたのだ。

練習の段階では、全然失敗なんてしなくて、寧ろ大成功で凄く美味しく仕上がった。

だから、肝心の本番で失敗なんて……絶対にしたくない。


けど……大丈夫、かな?

何だか不安になってきた。


あたしはそう思うと、ハンバーグのタネを丸めて…兄貴に習ったように、形を整えていく。

…あ、ハート型にしようかな?

一瞬、そんなことを考えたけれど………いや、やっぱやめた。

馴れないことはしないでおこう。


あたしはそう思うと、やっとハンバーグをフライパンで焼き始めた。

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