兄貴がイケメンすぎる件

…………


その後は、何とか無事に焦がすことなくハンバーグが焼き上がった。

ハンバーグの他にはサラダやスープを作って、これも味が少し不安だけど……翔太、食べてくれるかな。

二人分の椅子があるダイニングテーブルに出来上がったそれを運ぶと、翔太は一目見て「美味しそう!」と言ってくれた。


…見た目は大成功なんだ。そう。見た目だけは。


そしていざ「いただきます」と手を合わせて食べる瞬間が来ると…

あたしは自分で食べる前に、まず正面で気になる翔太の味の反応を待ってみた。



「…ど、どう?」



翔太がまず先に口に含んだのは、ハンバーグ。

あたしが堪らずにそう聞くと、翔太は飲み込んだあと、笑顔であたしに言う。



「……ん、美味しいよ」

「ほんと!?」

「うん。見た目からして美味しそうだし、味も凄く美味しい」



翔太はそう言うと、「ありがとう」って微笑む。

一方、そんな翔太の反応に、あたしはとりあえず安堵するけれど…



「…あの、実は塩コショウ入れすぎたんだけど、辛くない?」



…何気にずっと気になっていたことを問いかけてみれば、翔太が言った。



「……うん、ちょっと辛いかな」

「!」

「でもそんなに気にならないよ」



そう言うと、そばに置いてある冷たいお茶を飲む。

う、うそ…やっぱり!?

あたしはその言葉を聞くと、やっと目の前のハンバーグに手をつけた。


……嫌な予感はしてたんだよね…。


そう思いながら食べてみると、ハンバーグはあたしの予想以上に凄く辛いものになっていて…。



「…っ!」

「あ、でも、頑張れば食べれるよ。ちゃんと美味しいから」



…翔太はそう言ってフォローしてくれるけど……これ、兄貴がいつも作ってくれているハンバーグと全然違う…。

だけど、「無理して食べなくていいんだよ」と言っても、翔太はあたしが作ったものを完食してくれた。


…まぁ、味が酷いのはハンバーグだけだったけどね。

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