兄貴がイケメンすぎる件
…………
そして、その後。
夕飯を済ませたあとは、二人でバースデーケーキを食べ、後片付けをして順番にお風呂に入った。
後片付けは、翔太が誕生日だからあたし独りでよかったのに、「せっかく頑張って作ってくれたから」と言って結局翔太は最後まで手伝ってくれた。
やっぱり翔太は優しい。手伝ってほしかったわけじゃなかったけど、そういう気遣いが嬉しすぎる。
けど……もうそろそろ、寝る時間か。
夜のゆったりした時間を過ごしていたら、ふいに睡魔が襲ってきて…あたしは時計を見遣った。
すると時刻はいつのまにか23時を回っていて、それでも眠気を我慢していたら、それに気がついたらしい翔太が言う。
「…そろそろ寝る?」
「ん、」
「世奈ちゃん寝室のベッド行きなよ。僕はここで寝るから」
「…え、」
翔太は当たり前のようにそう言うと、さっきまでつけていたテレビを消す。
…だけど一方、またそういうことを言われたあたしは、思わずちょっとびっくり顔。
だって……え、また別々で寝るの?しかも、翔太がソファー?
あたしはそう思うと、寂しさと申し訳なさを感じて翔太に言った。
「いや、いいよいいよ。あたしがソファーで。それか一緒に、」
「ダメだよ。世奈ちゃんソファーで寝たら風邪引くでしょ」
「翔太だって、ソファーで寝たら風邪引くよ」
「僕は平気。ほら、素直に寝室行きな?」
「……っ」
翔太はそう言うと、あたしの両肩に手をやり、半ば強引に方向転換させる。
けどあたしは、その背中越しに…寂しすぎて言葉が止まらない。
「…一緒がいい」
「!」
そして思わず一言そう口にすると、翔太が言った。
「…わかってないな、世奈ちゃん。今一緒に寝たら、僕世奈ちゃんに何するか、」
「っ…わかってないのは翔太の方だよ!あたしは、それでも翔太と一緒がいいの!独りじゃ寂しいんだもん!」
「!」