兄貴がイケメンすぎる件
「っ…え、世奈!?」
「…っ」
「なんで世奈いんの!?え、っつかいつからいんの!?」
そう言って、かなりビックリしているらしく、目を丸くする健。
でもきっとそれ以上に今、あたしの方がアラームの音のせいでビックリしてるからね。
あたしがそんな健に野菜を届けに来たことを伝えると、健が言った。
「そうなんだ…。ああ、っつかビビったわ。起きたらいきなり世奈いるから。っつかその前に起こしてよ」
「いや、気持ち良さそうに寝てたからさ」
「ああ、なるほどね。じゃあ一緒に二度寝する?」
健は何気なくさらりといきなりそんなことを言うと、「ここおいで」と自分の隣をぽんぽん叩く。
一瞬あたしは、そのふかふかのソファーと毛布に惹かれてしまったけれど、ここで奴のペースに流されるわけにいかない。
あたしは一応、彼氏持ちだから。
だからそんな健に、はっきり言った。
「やだ。絶対イヤ」
「何で、おいでよ」
「…翔太に悪いもん」
「心配しなくたって何もしないよ。ほら、あったかいよ世奈」
「…」
健はそう言うと、「おいで」と毛布を捲る。
普通だったらここで隣になんか行かないけれど、今日は惹かれてしまった。
だってあたしもついさっきまで、自分の部屋でウトウトしていたし、外が寒すぎたから。