兄貴がイケメンすぎる件
最低。最低、最低!
もう顔も見たくないあんな奴。
無理矢理にでも一人で帰っとくんだった、
そう思いながら、あたしは走ってマンションに入る。
あたしと兄貴の部屋は6階。
エレベーターのボタンを連打して、「早くしてよ」と急かしていたら、
その時ふいに、また大嫌いな声が聞こえた。
「世奈」
「!!」
慌ててそこを見ると、そこにいたのは走ってあたしを追いかけてきたらしい健だった。
だけどもう口も聞きたくないあたしは、健を無視して階段を使おうとする。
でも、その手をすぐに掴まれた。
「待てよ」
「っ…離して、バカ!」
「離すかよ、待てっつってんの、」
階段の下で散々手を振り払おうとするけど、健の力が強すぎてなかなか離れない。
そしてしばらくそんな争いを繰り広げていると、そのうちにあたし達はバランスを崩して…
「っ、ひゃあ!」
「わっ…!」
あたしは気づけば、健の上に覆い被さってしまっていた。