兄貴がイケメンすぎる件
「そりゃあ少しはそういうことも…するだろ!お前はどうなんだよ!」
「ぼ、僕は…しないよ!本物の世奈ちゃんの方がもっと魅力的な女性だし!」
「それは俺だって知ってるよ!」
「いーや、知らないね!知るはずがないね!」
「はぁ?何でそんなっ、」
しかし、そう言ってだんだんお互いに喧嘩腰になってきた、その時。
その言葉を遮るように、次の瞬間テレビ画面から突然甘すぎる声が耳に飛び込んできた。
「!」
…健康的な男子高校生の俺達が、その声に反応しないわけがなくて。
その声に思わず、二人とも一瞬言葉を失ってしまう。
そしてその間も続く甘い声と、テレビ画面に映る過激すぎるシーン。
その子があまりにも世奈に重なって見える、から。
「…やべ、声まで似て聞こえる」
「ちょ、静かに。黙って」
「いや集中しすぎだろ」
そう言いながらしばらくお互い黙って見ていると…そのうち早月が呟くように言った。
「あ、やばいもう世奈ちゃんに会いたい」
「今会ったら絶対襲うやつじゃん」
そして二人でそう言いながら、思わずテレビ画面を見入ってしまう。
…───しかし、その時。
「けーんー。いるー?」
「!?」
「!?」
何故か突然。
玄関の方から、世奈の声がして。
俺達は、さすがに一瞬にして焦った。