兄貴がイケメンすぎる件

「そりゃあ少しはそういうことも…するだろ!お前はどうなんだよ!」

「ぼ、僕は…しないよ!本物の世奈ちゃんの方がもっと魅力的な女性だし!」

「それは俺だって知ってるよ!」

「いーや、知らないね!知るはずがないね!」

「はぁ?何でそんなっ、」


しかし、そう言ってだんだんお互いに喧嘩腰になってきた、その時。

その言葉を遮るように、次の瞬間テレビ画面から突然甘すぎる声が耳に飛び込んできた。


「!」


…健康的な男子高校生の俺達が、その声に反応しないわけがなくて。

その声に思わず、二人とも一瞬言葉を失ってしまう。

そしてその間も続く甘い声と、テレビ画面に映る過激すぎるシーン。

その子があまりにも世奈に重なって見える、から。


「…やべ、声まで似て聞こえる」

「ちょ、静かに。黙って」

「いや集中しすぎだろ」


そう言いながらしばらくお互い黙って見ていると…そのうち早月が呟くように言った。


「あ、やばいもう世奈ちゃんに会いたい」

「今会ったら絶対襲うやつじゃん」


そして二人でそう言いながら、思わずテレビ画面を見入ってしまう。


…───しかし、その時。


「けーんー。いるー?」

「!?」

「!?」


何故か突然。

玄関の方から、世奈の声がして。

俺達は、さすがに一瞬にして焦った。
< 367 / 386 >

この作品をシェア

pagetop