兄貴がイケメンすぎる件
世奈ちゃんはとことんずるいと思う。
こうやって髪を撫でてくれるだけでドキドキするのに、その上褒めてくれるなんてさ。
そして思わず僕が世奈ちゃんを見上げると、世奈ちゃんは優しい顔を浮かべてくれる。
作ってない微笑み。
僕は横向きになっていたけど、仰向けになって世奈ちゃんを見上げた。
するとそんな僕に、世奈ちゃんがちょっと笑って言う。
「…恥ずかしいんだけど。向こう向いてよ」
「やだ。こっちの方が世奈ちゃんのこと見れるもん」
「いや見なくていいよ」
「何で?僕は見ていたいのに。ってか、ひざまくらに誘ったのは世奈ちゃんでしょ」
僕はそう言うと、もう仰向けから動かない覚悟で世奈ちゃんを見上げる。
…この角度から世奈ちゃんを見れるなんて、なかなか貴重だな。
そう思いながら思わず世奈ちゃんの右頬に優しく手を伸ばしたら、世奈ちゃんは少し緊張した顔をした。
…ドキドキしてくれてるのかな?
けどこの体勢は、キスができないから辛い。
「…翔太って意外と甘え下手だよね」
「その言葉、そのままそっくり世奈ちゃんに返すよ」
「ええ、そうかなぁ?」
「けど僕は、好きなコに対しては甘えたいというより、甘えられたい派だからね」
…だから、この体勢は凄く新鮮。
でもそんなことを言っている間に、世奈ちゃんの手がまた僕の頭を優しく撫でる。
僕の右手は世奈ちゃんの頬を撫でていたけど、そのうちその手も滑り落ちて…僕はやがて世奈ちゃんの膝の上でゆっくり眠りについた。
こうやって甘えるのも、たまにはアリかもしれない。
【甘いひざまくら/おまけ④】
(…アレ、寝てた!?いつの間に!?)
(もう起きたの!?寝顔可愛かったのにーっ)
(っ、次逆!僕が世奈ちゃんにひざまくらしてあげるっ)