兄貴がイケメンすぎる件


「健、呼んでるぞ」

「…?」


昼休みの、いつもの賑やかな教室。

ふいに友達にそう言われて、振り向けば。

教室の入口には、何故か早月が立っていた。


は…俺?

っつか、何でいきなり早月なんだよ。


早月が俺を呼びにこうやって来ることは、初めてで。

いつもなら世奈か…自慢ではないけど、女子生徒が、大半なのに。

全く思い当たる節がないままそいつのところに足を運ばせると、やがて早月が言った。


「…悪いねぇトツゼン」

「いや、別にいいけど。っつか珍しくない?どした、」

「……今度の土日、どっちかあいてるかなぁと思って」

「土日?…俺?」

「うん」


早月の言葉に、俺はふと考える。

でも、土曜日はたぶん部活だ。

日曜ならあいてるけど…そう言おうとしたら、その前に早月が言った。


「二人で、夏祭りに行かない?」

「………は、」


ナツマツリ?

早月のそんないきなりの誘いに、一瞬だけ思考回路が停止する。

と、いうか、思わず自分の耳を疑ってしまった。

……その言葉の意味って。

いや、確かに、今まで二人だけで俺の家とかで一緒に遊んだことは何回かあったけど。

でも夏祭りとか。たぶんコイツ、誘う相手を間違えてるんじゃね?

俺はそう思うと、目の前の早月に言う。


「…あー……て、いうのを、俺から世奈に伝えてくれ、と?」
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