兄貴がイケメンすぎる件
…うん。きっとそうだ。っつか、そうに違いない。
しかし早月はそんな俺の言葉に首を横に振ると、言った。
「違うよ。僕と相沢さんの二人で、夏祭りに行かないかって言ってるの」
そう言って、「君の予定をさっき聞いたじゃん」と。
真顔でそんなことをいきなり言い出すから。
俺は、柄にもなく、びっくりして言った。
「…は、え…ほ、本気で?本気で言ってんの?」
「うん。…え、もしかしてもうすでに先約入っちゃってる?」
「いや、それはまだだけど。
っつか、世奈は?どしたよ。夏祭りなのに世奈と行かないとか、お前らしくないだろ」
そう言って、俺は疑うけれど。
早月の様子はいたって普通で。
全くいつもと変わりはない。
それどころか、そいつはむしろ笑顔すら浮かべて言った。
「いいじゃん、行こうよ。たまには男同士でさ。え、相沢さんて夏祭りとか嫌いなタイプなの?」
「いや…そういうわけじゃない、けど」
「じゃあ尚更行こ!で、結局どっちなら都合がいいの?」
そんな早月の問いに、俺は「…どっちでも」と答える。
まぁ夏祭りに行くなら、夜しかやっていないから別に土曜日でも平気だ。
俺の言葉に早月は「じゃあ土曜日で」と言うと、やがてその場を後にした。
「じゃあ、詳しいことはまた今度ラインでね」
「…ああ」
早月のそんな言葉に、俺もそいつに思わず手を振り返す。……けど。
さっき、何気にスルーされたから気になった。
たまには男同士で…とか何とかうまいこと言ってたけど。
…やっぱり世奈と何かあったな。
俺はそう思うと、首を突っ込んじゃいけない……と思いながらも、気になって世奈に聞いてみることにした。