兄貴がイケメンすぎる件
教室を出て、生徒玄関に到着した時。
自分のロッカーに行く前に、何故かそこで世奈に声をかけられた。
まさかそこに世奈がいるなんて思わなくて、思わずドキッとしてしまったのは内緒で。
っつか俺未練タラタラ…だな。
それでも冷静を装って「なに」と返事をすれば、ロッカーに向かう俺の後ろを世奈がついて来ながら言う。
「ちょ、聞いて!あたし人生で一番…いや二番目のピンチかもしれない!」
「…」
…何故いま順位が下がった。
それは敢えて突っ込まずに、俺は「なんで」と自分のロッカーを開けながら言う。
するとそんな俺に、世奈が切羽詰まった様子で言葉を続けた。
「翔太が明日浮気する!」
「…は」
「どうしようあたし!ね、どうしたらいい!?」
…ちょっと待て。突然そんなことを言われましても、お嬢様。
っつかそんなこと、なんでわかんだよ。
俺は世奈の言葉にそう思いつつ、靴を履き替えながら言う。
「落ち着けよ。っつか何でそう思うの」
そう言って世奈を見遣れば、世奈が言った。
「翔太が、明日の夏祭りには一緒に行けないって!」
「!」
「今朝夏祭りに誘ったら、ごめん先約入れたからって言われてさ、何それって!
そもそもあたし誘われてないのに、何で先にあたし以外の女の子誘うの!意味わかんない!」
「…、」