兄貴がイケメンすぎる件

けど俺もあの時、実際突然すぎて半信半疑だったし。

早月のことだから、何か裏がありそう…とか、考えていて。

俺がそう考えていると、その間に世奈が言葉を続けて言う。


「それに、だったら何で翔太は健と行くってはっきり言わないわけ!?…それくらいは言ってくれても、」

「…さぁー?それは何かアイツなりの理由があるんじゃね?知らないけど。っつか、ごめんって。俺もあん時半信半疑だったんだよ」

「……」

「まぁ、とにかく心配はする必要ないから。な?なんせ相手はこの俺だし」

「ん、まぁ…それは……ぶっちゃけ安心したけど」


世奈は呟くようにそう言うと、やがて俺に向かってぎこちなく「…ありがと」と。

たぶん、話を聴いてくれて「ありがとう」だと思う。

珍しく素直にそう言うから、俺はどさくさに紛れてその頭を優しくぽんぽんした。

その後は世奈に手を振って、俺はいつものようにグランドに向かう。

そんな俺に世奈が黙って手を振り返しているのを見ると、やがて世奈に背を向けた。


…………


「……て、ことがあったんだけど」

「ふーん。世奈ちゃんがねぇ」


そして、その翌日。

今日は、夏祭りの日。

本当に約束通りに野郎二人で待ち合わせをして、たくさんの屋台から少し離れた場所で。

俺が昨日の世奈のことを話すと、早月は嬉しそうな笑みを浮かべて言った。


「やば、愛されてんね僕。世奈ちゃんに」

「うるせー」

「そっかそっか、世奈ちゃん泣いてたのか」

「いや、泣いてな…」

「月曜日会ったら抱きしめてあげなきゃね」

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