兄貴がイケメンすぎる件


そう言って、嬉しそうに、さっき屋台で買ったわたあめを食べる。

…なんかその言い方うざい。

っつか、この腹黒男のことだから、その様子からして…もしかしてわざと世奈を妬かせたくて、相手が俺だと言わなかった…とか?いや、あくまで憶測だけど。

そう思いながら、俺はなるべく世奈の話を出さないでおこうと、話を逸らすように言った。


「っつかさ、ずっと疑問だったんだけど、何でお前よりにもよって俺と夏祭りに行こうとか思ったわけ?」

「…え?」

「不思議だったんだよな。何で俺だよって。野郎二人で、とかお前一番嫌がりそうなのに」


俺はそう言うと、さっき買った唐揚げを一つ頬張る。

ちなみにちょっとピリ辛の唐揚げ。三つもおまけしてもらった。

そして俺の言葉に早月は少し考えると、言う。


「…ま、たまにはいいじゃん?」

「そんな理由?」

「何か他に理由が必要なの?…あ、でもね、」

「?」


そんな早月の問いに俺が首を横に振りかけたら、早月はそれを遮るように言った。


「僕って、同性の友達少ないから」

「うん。知ってる」

「自慢なんだけど、こういう夏祭りとかって、女の子としか行ったことないんだよね。ショッピングとかもそう」

「…自慢っつうか……何か同情するわ」

「で、思ったんだけど。これ、同性と行ったらどんな感じかなって。考えたら急に試したくなって」

「で、俺を誘ったわけだ?」

「そうそう。そういうこと」


…なるほどな。まぁそう聞いたら確かに早月らしいか。

それでも俺以上に仲良い男友達くらいいるだろうに。っつか俺って友達っつうか……ライバル、だし。

俺がそう思っていると、早月が言う。
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