兄貴がイケメンすぎる件
いや、早月は世奈の彼氏だから、別におかしなことではないんだけど。
っつうか、おかしいのは俺の方で。
世奈のことを諦めるとはっきり言っておきながら、まだまだ引きずっている自分が嫌になる。
…まぁ、そもそもそんな簡単に諦められるくらいの想いじゃ、ないんだけど。
それでも、そいつにムカついたその瞬間。
「っ…あー!翔太くんと相沢くん発見!!」
少し離れた背後から、聞き覚えのあるそんな声が聞こえてきたから。
その声を聞いた瞬間、まさか、と声がした方を振り向けば、そこには同じクラスの女子達がたくさんいて…。
「え、なんで!なんでバレてんの!?」
何も知らない早月はびっくりしてそう言うけど…一方の俺は完全に忘れていた。
そういえば、そんなテキトーな約束………したな。
なるべくなら話やすく人気が少ない場所までやって来たのに、簡単に見つかるとは。(しかも暗いし)
早月は隣で「何で?」「何で?」と目を丸くしているけれど、見つかってしまったんならもう諦めるしかない。
「…早月。やっぱお前、俺を誘ったの間違ってたって」
「えっ」
世奈がまた、泣くかもしれないけど。
ここで早くも、男二人の夏祭りは………幕を閉じた。
end