兄貴がイケメンすぎる件



早月翔太がそんなことを言うもんだから、あたしはそれに頷いて袋から一枚だけクッキーを取り出した。

そしてそれを、ぱくりと口に含んで食べてみる。



「…!」



お、美味しい…!


一口食べて、びっくりした。


悔しいけど、奴の作った手作りクッキーが超美味い。

お菓子作りが得意なのか?

え、いやコイツ男だけど。


でもちゃんとこのクッキーはサクサクしてるし、甘さも控えめで完全にあたし好みだ。



「…どう?」



あたしがあまりの美味しさで言葉を無くしていると、なかなか感想が出てこないためか早月翔太が不安げにあたしを見てきた。


お前は初めて彼氏に手作り料理を振る舞った彼女か!


思わず心の中でそんなツッコミを入れてしまったけど、あたしは素直に「美味しいよ」と言った。



「すっごい美味しい。お店に出しても問題ないんじゃない?なんなら…」



あたしの兄貴のカフェにでも。


思わずそう言いかけたけど、すぐにその言葉を飲み込んだ。


…危ない、危ない。

今はどんな奴にでも兄貴の話題は禁句なのだ。

(彼氏が出来なくなるから)


< 43 / 386 >

この作品をシェア

pagetop