兄貴がイケメンすぎる件
あたしがそれを言いかけてすぐにやめたけど、早月翔太は特に気にしていない様子であたしの言葉に喜んだ。
「ほんと!?わーい!」
「…」
いや、わーいって。
「よかった~。
いやさ、昨日道端で偶然僕ら会ったじゃん?あの時実はクッキー作りかけで。
甘いの好きかも聞けばよかったんだけど、一緒にいた相沢さんのことが気になっちゃって」
「そ、そう…」
「でも彼氏じゃないみたいだし、クッキーも誉めてもらえたし、もう大満足だよ!」
早月翔太はそう言って、またニッコリ笑う。
周りの女子達は、当たり前だけど面白くなさそう。
そりゃあ好きな男が自分じゃない他の女子に何かをプレゼントしてたら、寂しいしムカつくよね。
コイツ(早月翔太)、少しは遠慮しないのかな。
そんなことを考えていたら、早月翔太があたしにあげたクッキーを一枚取り出して、それを今度は自らの手でそれをあたしに差し出した。
「…なに」
突然のことに呟くようにそう言うと、そいつは未だ笑顔を崩さずに言う。
「食べさせてあげる。あ~んして」
「は…」
い、いやいやいや!
ここ教室だから!
みんな見てるし、それ何の羞恥プレイだよ!?
奴の行動にびっくりして勢いよく否定しようと口を開いたら、その隙に口の中にクッキーを入れられた。
「…ど?」
「…美味しい」
だけどやっぱり、早月翔太のクッキーは絶品だ。
…ちょっと悔しいけど。