兄貴がイケメンすぎる件


そう思って、思わずため息をつきかけた時だった。



「は…」

「世奈ちゃーん!」

「!」



その時ふいに誰かに呼ばれて、あたしは顔をあげて声がした方を見た。

でも、誰かなんてなんとなくわかる。



「…早月、翔太…」



やって来たのは、やっぱり早月翔太だった。


そいつはあたしの元に駆け寄ってくるなり、若干息を切らしながら言った。



「も~、どこ行ったのかと思ったよ!昼休みは世奈ちゃんと一緒に過ごそうと思ってたのに何処にもいないんだもん!」

「…ごめん、」



…って、アレ?

何であたし謝ってんだ?


だけど、早月翔太は走ってあたしを探してくれていたらしい。

もうちょっと、早く来てくれてたらよかったのに。


そう思っていたら、ふいに何かに気がついたそいつがあたしに言った。



「あれ?世奈ちゃん、手。血が出てる」

「え、」



早月翔太はそう言うと、ポケットから淡いピンクのハンカチを取り出した。



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