兄貴がイケメンすぎる件
ぴ、ピンクのハンカチ…!?
そしてそれに驚いているあたしに気づかずに、早月翔太はそのハンカチを血が出ているあたしの手に優しくあてる。
「痛くない?保健室行って、絆創膏貰いに行こ?一緒に行ってあげる」
そう言って、「ね?」とあたしの顔を覗き込む早月翔太。
だけどなんだかあたしは可笑しくなってきて、思わず笑ってしまった。
「あんたさ、それはちょっと…!」
「へ…」
「あははっ、おかしっ…イマドキ男子高校生がピンクのハンカチって!」
「!」
あたしはそう言って、奴の目の前でゲラゲラ笑う。
…でも、何だろう。
確かに可笑しいはずなのに、笑えてくるはずなのに、そのうちあたしの目からは涙が溢れ出す。
「!…世奈ちゃん」
「やめた、方がいいよ。彼女が出来たら、それ、引かれるからっ…」
…何で、あたしは泣くの?
いや、でも、本当はなんとなくわかってる。
先輩達が怖かったからじゃない。
ましてや寂しかったからでもない。
コイツがここに来てくれて優しくしてくれた瞬間、一瞬だけあたしには、
早月翔太がいつかの貴斗くんと重なって見えたから。