兄貴がイケメンすぎる件
******
放課後。
さて、帰るかな…。
そう思って鞄を持った直後、あたしは早月翔太に声をかけられた。
「世奈ちゃん」
「うん?」
何だよ…「一緒に帰ろう」とか言わないでよ?
そう思って奴の言葉を待っていたら、早月翔太が笑顔であたしに言う。
「この後どうする?」
「え、どうするって?」
「だから、一緒にケーキ食べに行く約束したじゃん。何処に食べに行く?」
「は…」
早月翔太はあたしにそう言って、ニコニコとあたしを見ている。
いや、待て待て待て。
ケーキ食べに行く約束?
そんなのいつした!?
「いや、そんな約束してないでしょ!」
あたしが早月翔太にそう言うけど、そいつは「だって…」と途端にしょんぼりした顔で言った。
「…世奈ちゃんと食べに行きたいんだもん。ってか、先に誘ってくれたのは世奈ちゃんだからね!」
「え?や…」
「…夢の中でだけど」
「!」
夢の中かよ!!
だけど、本当ならここで断るけど、ケーキが大好きなあたしは今回は素直に頷いた。
「…仕方ないなぁ」
「!」
「特別に一緒に行ってあげる。そのかわり、あんたのオゴリね」
あたしがそう言うと、早月翔太は「わーい!」って喜んだ。
…本当、単純っていうか…
乙女な奴。