兄貴がイケメンすぎる件


******



放課後。


さて、帰るかな…。



そう思って鞄を持った直後、あたしは早月翔太に声をかけられた。



「世奈ちゃん」

「うん?」



何だよ…「一緒に帰ろう」とか言わないでよ?


そう思って奴の言葉を待っていたら、早月翔太が笑顔であたしに言う。



「この後どうする?」

「え、どうするって?」

「だから、一緒にケーキ食べに行く約束したじゃん。何処に食べに行く?」

「は…」



早月翔太はあたしにそう言って、ニコニコとあたしを見ている。



いや、待て待て待て。

ケーキ食べに行く約束?


そんなのいつした!?



「いや、そんな約束してないでしょ!」



あたしが早月翔太にそう言うけど、そいつは「だって…」と途端にしょんぼりした顔で言った。



「…世奈ちゃんと食べに行きたいんだもん。ってか、先に誘ってくれたのは世奈ちゃんだからね!」

「え?や…」

「…夢の中でだけど」

「!」



夢の中かよ!!



だけど、本当ならここで断るけど、ケーキが大好きなあたしは今回は素直に頷いた。



「…仕方ないなぁ」

「!」

「特別に一緒に行ってあげる。そのかわり、あんたのオゴリね」



あたしがそう言うと、早月翔太は「わーい!」って喜んだ。



…本当、単純っていうか…




乙女な奴。


< 51 / 386 >

この作品をシェア

pagetop