兄貴がイケメンすぎる件
そして早月翔太と二人で教室を後にして、生徒玄関に向かった。
すると、一緒にいる相手が早月翔太なだけに、あたし達は他の生徒達からたくさんの視線を浴びる。
「…ねぇ、あんたっていつもこうなの?」
その視線にたまらずにそう聞くと、早月翔太は特に気にした様子もなく言った。
「こうって?」
「視線だよ、すんごい見られてるじゃん」
「え、別に普通だよ」
早月翔太はそう言うと、可笑しそうにちょっと笑うから、思わずあたし自身が可笑しいのかな、なんて思ってしまう。
…慣れてるんだ、こういうの。
なんか、それもそれで大変だな。
そしてそれと同時に、あることにも気がつく。
もしかしてコイツは、皆がコイツ自身をこういう王子的な扱いをするから、なかなか彼女が出来ないんじゃ…。
そう思って早月翔太を見つめていると、そのうちその視線に気がついたそいつが言った。
「…なに?世奈ちゃん」
「え、」
「そんなに見とれないで。さすがの僕も照れちゃう」
そう言って、本当に照れたような笑顔を浮かべるそいつ。
「!?っ…だっ、誰も見とれてなんかいませんよ~だ!」
あたしは思わず恥ずかしくなって、そいつに生意気にそう言った。
…しかし、そんなあたし達の姿を、健が柱の影から見ていたなんて、あたし達は知らない。
「…やっぱ彼氏候補じゃねぇかよ」
健は独りそう呟くと、切なく二人を見つめた。