兄貴がイケメンすぎる件


そして早月翔太と二人で教室を後にして、生徒玄関に向かった。

すると、一緒にいる相手が早月翔太なだけに、あたし達は他の生徒達からたくさんの視線を浴びる。



「…ねぇ、あんたっていつもこうなの?」



その視線にたまらずにそう聞くと、早月翔太は特に気にした様子もなく言った。



「こうって?」

「視線だよ、すんごい見られてるじゃん」

「え、別に普通だよ」



早月翔太はそう言うと、可笑しそうにちょっと笑うから、思わずあたし自身が可笑しいのかな、なんて思ってしまう。


…慣れてるんだ、こういうの。

なんか、それもそれで大変だな。


そしてそれと同時に、あることにも気がつく。



もしかしてコイツは、皆がコイツ自身をこういう王子的な扱いをするから、なかなか彼女が出来ないんじゃ…。


そう思って早月翔太を見つめていると、そのうちその視線に気がついたそいつが言った。



「…なに?世奈ちゃん」

「え、」

「そんなに見とれないで。さすがの僕も照れちゃう」



そう言って、本当に照れたような笑顔を浮かべるそいつ。



「!?っ…だっ、誰も見とれてなんかいませんよ~だ!」



あたしは思わず恥ずかしくなって、そいつに生意気にそう言った。








…しかし、そんなあたし達の姿を、健が柱の影から見ていたなんて、あたし達は知らない。



「…やっぱ彼氏候補じゃねぇかよ」



健は独りそう呟くと、切なく二人を見つめた。



< 52 / 386 >

この作品をシェア

pagetop