兄貴がイケメンすぎる件
「世奈ちゃん、家まで送るよ」
「!」
早月翔太はそう言うと、再びあたしとの距離を縮める。
でも、そういうわけにはいかない。
何せ今日は兄貴が仕事休みでマンションにいるから、もし出くわしてしまえば話にならない。
あたしはそう思うと、そいつの言葉を断るようにして言った。
「いや、悪いけどそれはやめておく。独りになりたい気分だし」
「え、でも危ないよ」
「大丈夫だって、あたしのことは気にしないで。
あんたは真っ直ぐ家に帰ればいいから」
「でも…」
早月翔太はそう言って不満げな顔をするけど、あたしはやっぱり兄貴のことは知られたくない。
心配してくれるのは有り難いけど、あたしは半ば強引にそいつに手を振ると、背中を向けてその場を後にした。
………しかし。