兄貴がイケメンすぎる件


「うん?」

「ドライヤー貸して」



健はあたしにそう言うと、片手を差し出す。



「ちょっと待ってて」



そしてあたしはそう言うと、自分の部屋からドライヤーを持ってきてそれを健に渡した。



「はい、どーぞ」



しかしそう言って渡した瞬間、健が不満そうにあたしに言う。



「…世奈が乾かしてよ」

「へ…」



健はそう言うと、じっとあたしを見つめる。

その視線と言葉に、あたしは思わずドキッと……




…するかっつーの!!



「バカじゃないの!?自分で乾かせば、」



そう言って冷たく返したけど、健の表情は変わらない。

むしろ少し甘えた感じで、あたしに言った。



「世奈がやんなきゃ乾かないじゃん、髪」

「……」

「…ねぇ、世奈ってば」



…本当、コイツこんなキャラだっけ?


そう思いながらも、あたしはそんな健をシカトし続ける。


…あたしが悪いんじゃないんだからね!


そう思っていたけど、その様子を見ていた兄貴があたしに言った。



「世奈、髪くらい乾かしてやれや、」


「…はーい」



兄貴は、いつも健の味方だ。



…何故か。


< 66 / 386 >

この作品をシェア

pagetop