兄貴がイケメンすぎる件
健はそう言って心配するけど、あたしが避けていた原因はそれじゃないし、別に怒っていたわけでもなかった。
だって…普通になんて出来るわけないじゃん。
ずっと冷たかったあんたに急に告白されて、突然優しくなって、何かいちいち意識しちゃって…。
自分がオカシイ。
「…怒ってないよ、ばか」
「え、」
あたしはそう言うと、健を見れずに真っ直ぐ前を向いたまま話を続けた。
「だって…あんたが、あたしを好き…とか言うから」
「…」
「それに何か今日突然来るし。兄貴は兄貴で、あたしとあんたが昔…チューした…とか言うしっ…」
「…」
「恥ずかしすぎて、どうしたらいいかわかんなくなるじゃん。何であんたは普通でいられるの、」
あぁ…今この部屋が暗闇で良かった。
じゃなきゃ今頃、健に笑われてるかもしれない。
あたし今絶対、顔が赤いから。
あたしがそう言うと、健はちょっと黙ったあと「何それ」と呟いた。
え、何それって?
あたし何か変なこと言った?
「世奈…可愛すぎ、」
「え、」
「もーどうしよう、俺!やっぱ世奈が好き!大好き!」
「!」
健はそう言うと、次の瞬間勢いよくあたしを抱きしめてくる。
その反動で、思わず後ろに倒されかけたけど…そこは必死でこらえた。
「ちょっ、健…」
「…ごめん、しばらくこのままがいい」
健はそう言って、なかなかあたしを離してくれない。
思いきりぎゅーっと抱きしめてくるから、なんだか健の想いが自然と伝わってきて、ちょっとドキドキした。
そして、しばらく抱き合ったあと、ふいに身体を離した健があたしに言う。
「…世奈」
「?」
「久しぶりに…おやすみのチュー、する?」
「!!」