兄貴がイケメンすぎる件


ふいに何かを察したらしい早月翔太があたしに近づいてきて、あたしの持っている紙を半ば乱暴に奪い取った。



「ちょっ…!」



そしてあたしが慌てて取り返そうとするも、それを簡単にすかされてしまう。



「返してよ!」



思わず涙目になってそう叫んだら、次の瞬間早月翔太が「はぁ…」とため息をついて言った。



「…世奈ちゃん、何これ」

「…っ、」

「ほんとなの?」



早月翔太はあたしにそう問いかけると、紙に貼ってあるチュープリを指差す。

だけどそれは紛れもなく本物で、あたしは早月翔太の目を見れずにただ小さく頷いた。



「…ごめんなさい」



謝る意味もわからないけど、あたしの口が自然とそう動く。


…呆れちゃっただろうな。


そう思っていたら、早月翔太はふと自分の制服のズボンのポケットに手をつっこみ、何故か携帯を取り出した。



「…?」



そして、たまたま近くにいた女子生徒に言う。



「ちょっとさ、写メって」

「えっ…あの、」

「僕が合図出したらね」



早月翔太は一体何をする気だ?


そう思って首を傾げていると、そいつはそのままあたしの目の前までやって来て、




突然、





みんなの前であたしにキスをした。

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