兄貴がイケメンすぎる件


その時突然、呼び出しの放送が鳴った。



“2年3組工藤世奈。今すぐ職員室まで来なさい”



「!!」



…あ、担任の池端泰樹(イケバタ ヤスキ)先生の声だ。

(ちなみに池端先生は、現在36歳独身)


その声はどこか怒っていて、あたしはなるべくなら行きたくなかったけど、ここで行かなければ後が怖い。

実は池端先生、この学校で怒ると一番怖い上に、普段からも厳しく、いつもしている黒縁メガネを光らせて生徒を監視しているのだ。


うわ…憂鬱だ。出来ればこれも逃げたい。


そう思いながらもそのまま職員室に行こうとしたら、後ろから早月翔太が言った。



「待って世奈ちゃん!」

「…え?」



なに?

ってかあたし、早く行かなきゃ池端先生に怒られるんだけど。


そう思って後ろを振り向くと、早月翔太はあたしの隣に並んで言う。



「怖いんでしょ?池端先生が。なら一緒に行ってあげる」



早月翔太はそう言うと、天使のようにニッコリ笑った。



「早月翔太…」



そしてそんな早月翔太に感動していると、そんなあたし達を見て慌てたらしい健が、「世奈、俺も…」と口を開いたけど…



「あっ、相沢先輩!」

「!!」



次の瞬間、健は運悪く部活の後輩に見つかり、呼ばれてしまった。



「何だよお前こんな大事な時に…」

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