兄貴がイケメンすぎる件


健がそう言うと、後輩君が言う。



「何だよじゃないですよ!朝練の途中なのに何処行ってんすか!」

「…あ。いや、でも俺いま…」

「ほら戻りますよ!」



後輩君はそう言うと、健の腕をぐっと引っ張った。

しかし朝練に戻りたくないらしい健はあたし達を気にするけど、そんな健に早月翔太が言う。



「大丈夫だよ、相沢さん!」

「え、」

「世奈ちゃんのことは、ちゃんと僕が守るから!」



そう言って、健に向かって大きく手を振った。


…って、あぁ…そんなこと言うから健が怒った顔して…


なんてそう思いながらあたしが不安になっていると、早月翔太があたしの手を掴んで、言った。



「さ、邪魔者は消えたし。職員室行くよ、世奈ちゃん!」

「!」



早月翔太はそう言うと、あたしを連れて体育館を後にした。




…けど。




*******



「っとに、この大バカ者!」

「!!」



職員室に入るなり、あたしは池端先生にやっぱりそう怒鳴られた。



「何なんだ、この職員室に貼ってあった紙は!全部お前のことが書いてあるじゃないか!」



池端先生は半ば興奮ぎみにそう言うと、その紙をあたしに見せる。

実は、生徒玄関や早月翔太のロッカーに貼ってあったあたしの元彼との紙が、職員室前の廊下にも貼られてあったらしい。



「…すみません」



あたしは池端先生が怖いからとりあえずそう謝るけど、なんか納得いかない。


だってそれって、


確実にあたしのせいじゃなくない?


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