兄貴がイケメンすぎる件


え…



「…デート…?」

「うん、デート」



あたしがそう聞くと、健は若干頬を赤くしながらもはっきり頷く。

健と、デート…。


デート



「…嫌」

「!?…は、」



だけどあたしは、健に顔を背けて言った。



「あんたとデートとか、出来るわけないじゃん!バカじゃないの、」



そう言って、赤くなる自分の顔を隠すようにその場を後にしようとするけれど、そんなあたしの腕を素早く健が掴む。



「!…なに」



そして、言った。



「…ごめん、じゃあ言い方変えるよ。二人でライブ行こ、」

「…ライブ…?」

「うん、」



健はそう頷くと、さっきから肩にかけていたスポーツバッグの中から二枚の紙切れを取りだして、それをあたしに見せて言う。



「!!…これ、」

「世奈は、このアーティスト好きでしょ?」



誘われたライブは、なんとあたしが中学生の時からずっと大ファンだったアーティストのライブだった。

チケットはとりづらいし、この人達のライブって行ったことなかったから、密かにずっと憧れてたんだよー。

あたしはそのチケットを見ると、感激してそれに手を伸ばした。



しかし…



「ちょっと待った」



それを何故か健にすかされてしまう。



「何で!?」



思わず興奮気味にそう聞いたら、健が言った。



「これは、世奈と一緒に行きたくて手に入れたの。


ってことで、“デート”してくれるよね?」


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