兄貴がイケメンすぎる件


健はあたしにそう問いかけると、ニコリと笑う。


…もう、あたしの好きなアーティストのライブチケット出してくるのは反則でしょ…。


そう思いながらも、あたしは素直に頷いた。



「…うん、デートする」




******



そしてその夜、あたしは晩ごはんに使った皿を洗っている兄貴に言われた。



「世奈、お前週末どないすんねん、」

「え、」



兄貴はあたしにそう聞くと、チラリと冷蔵庫の前でお茶を飲んでいるあたしに目を遣る。



「どないすんねん、って?」



あたしが頭の上に?を浮かべながらそう聞くと、兄貴が言った。



「いや、何かあるやんか。友達と遊びに行ったりやとかな…」

「あぁ、健と遊びに行ってくる」

「!」



あたしがそう答えると、何故か兄貴は目を輝かせてまたあたしを見る。

そして何を言い出すかと思ったら、次の瞬間兄貴はとんでもないことを言い出した。



「え、お前それっ…!」

「?」

「健と付き合うんか!!」

「!?」



そんな兄貴の言葉に、あたしはびっくりして首を勢いよく横に振った。



「ちっ違う違う違う違う!!突然何言っちゃってんの兄貴!」

「…何や、ちゃうんかい」

「アイツと付き合うとか……ないない、」



あたしは兄貴にそう言うと、冷蔵庫の前から離れてリビングに戻った。

そんなあたしの後ろ姿を、兄貴が意味深に見つめているとは知らずに…。

< 88 / 386 >

この作品をシェア

pagetop