兄貴がイケメンすぎる件
そういえば、世奈と二人だけで出かけるなんて、もしかしたら初めてかもしれないな…。
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世奈 side
そして、デート当日。
健がマンションに迎えに来るまでの間、あたしはずっと鏡の前に立って自分の姿をチェックしていた。
いや、だからといって健のためなんかじゃない。
だって今日は待ちに待った大好きなアーティストに会えるんだもん!
そう思って独りニヤけていたら、そこへ偶然通りかかった兄貴に、
「何や世奈、健とデートするんがそんなに嬉しいんか」
って意地悪な笑顔でそう言われてしまった。
そんな兄貴の言葉に、あたしはついムキになって言う。
「ちっがーう!!
別にアイツのためなんかじゃないんだからね!
ライブじゃなかったらオシャレなんかしてないもん!」
あたしがそう言うと、兄貴は
「ふ~ん?」
って、からかい半分、疑い半分の目であたしを見る。
実は、今日のあたしのファッションは、まるで気合の入ったデートに着ていくような服装なのだ。
大好きなライブに行けるってことで、思い切ってオシャレしちゃったけど…。
よくよく考えたら、今日はアイツとデートなのだ。
…やっぱジーパンにしとこうかな。
そう思って、踵を返そうとした時だった。
「…あ、健来たんちゃう?」
「!」
その時、タイミング悪く玄関でチャイムが鳴ってしまった。
うわ…マジ!?
あたしがそう思って慌てていると、健がドアを開けて顔をのぞかせた。
「世奈ー?」