兄貴がイケメンすぎる件


そういえば、世奈と二人だけで出かけるなんて、もしかしたら初めてかもしれないな…。



******



世奈 side



そして、デート当日。

健がマンションに迎えに来るまでの間、あたしはずっと鏡の前に立って自分の姿をチェックしていた。


いや、だからといって健のためなんかじゃない。

だって今日は待ちに待った大好きなアーティストに会えるんだもん!


そう思って独りニヤけていたら、そこへ偶然通りかかった兄貴に、



「何や世奈、健とデートするんがそんなに嬉しいんか」



って意地悪な笑顔でそう言われてしまった。

そんな兄貴の言葉に、あたしはついムキになって言う。



「ちっがーう!!
別にアイツのためなんかじゃないんだからね!
ライブじゃなかったらオシャレなんかしてないもん!」



あたしがそう言うと、兄貴は



「ふ~ん?」



って、からかい半分、疑い半分の目であたしを見る。

実は、今日のあたしのファッションは、まるで気合の入ったデートに着ていくような服装なのだ。

大好きなライブに行けるってことで、思い切ってオシャレしちゃったけど…。

よくよく考えたら、今日はアイツとデートなのだ。


…やっぱジーパンにしとこうかな。


そう思って、踵を返そうとした時だった。



「…あ、健来たんちゃう?」

「!」



その時、タイミング悪く玄関でチャイムが鳴ってしまった。


うわ…マジ!?


あたしがそう思って慌てていると、健がドアを開けて顔をのぞかせた。



「世奈ー?」


< 90 / 386 >

この作品をシェア

pagetop