兄貴がイケメンすぎる件
アイツの家に行った件



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ライブ会場を出たまま、あたしは無意識に奴のマンションに向かっていた。

その場所は前に聞いたことがあったから、それを思い出しながら来てみた。


…やっぱ、先に連絡しておいたほうがよかったかな。


さっきから、健から電話がかかっていることに構わずに、あたしはようやくそいつ、「早月翔太」の部屋のインターホンを押す。


すると、しばらくして聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「はい?」



早月翔太だ…。



「あの、工藤世奈ですけど…」



あたしがそう言うと、早月翔太は一瞬にして「世奈ちゃん!?」と声を明るくし、ドアを開けた。



「わーい、世奈ちゃんだ!」

「!」



そしてドアを開けるなりそう言って、あたしを抱きしめてくる。


ちょ、ここ一応外だから!



「…恥ずかしいんだけど」



あたしが呟くようにそう言うと、早月翔太は…



「じゃあ早速なか入って!今ちょうどレモンタルト作ってたの!」



そう言って、にこやかにあたしを家の中に招き入れた。

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