兄貴がイケメンすぎる件
早月翔太は、マンションで独り暮らし。
「親の人いないの?」
そう聞いたら、
「海外に住んでる、お父さんの仕事の都合で。お母さんもついて行っちゃってさ、」
って、どこか寂しそうな顔をしてそう言った。
そして、あたしの目の前にさっき出来たばかりのレモンタルトを差し出すと、不思議そうにあたしに問いかける。
「で、どうしたの?世奈ちゃん、」
「!」
「いきなり家に来て」
そう言って、頭の上に?を浮かべてそう聞いてきた。
「…、」
その問いかけに、あたしはちょっとうつむくと、早月翔太の目を見れずに話し始めた。
「…今、あんた停学中じゃん」
「そだね」
「だからなんか、謝りに来た。っていうか…様子見に来たっていうか…」
「うん、」
「……ほんと、ごめんなさい」
あたしがそう言うと、早月翔太はちょっと笑って、
「だから、世奈ちゃんは悪くないって言ったでしょ」
って、そう言って優しい眼差しであたしを見てくる。
だけど納得がいかないあたしは、
「だって、停学なんかしちゃったら進学とか就職する時にひびくんじゃないの!?あんたの方こそ絶対に悪くないのにっ…」
そう言って思わず泣きそうになった。
…あたしって、こんな涙もろかったっけ?
そう思ってまだレモンタルトに手をつけずにいると、早月翔太がふいにフォークを持ってそのレモンタルトを一口刺し、それをあたしの口に入れて言った。
「んっ…?」
「…大丈夫だよ。僕、世奈ちゃんのこと大好きだから」