兄貴がイケメンすぎる件
…甘酸っぱいレモンクリームの味が、口の中に優しく広がっていく。
「…どう?」
そしたらそのうち早月翔太があたしにそう聞いてきて、あたしは…
「…美味しい」
素直にそう言った。
…ってか、めっちゃ美味しい!
何、あんたってこんな天才だったわけ!?
「あ、これほんとに美味しいよ!」
そう言って早月翔太からそのフォークをもらって、もう一口それを口の中に含む。
「…うん、やっぱ美味しい。幸せ!」
あたしが思わずそう言って微笑むと、向かいにいる早月翔太が口を開いて言った。
「…ねぇ、世奈ちゃん」
「うん?」
「やっぱりさ、僕と付き合ってよ」
「!」
「僕の彼女になって、切実に」
早月翔太はそう言って、あたしの目を真っ直ぐに見つめる。
その瞬間、あたしは不思議とそいつの視線から離れられなくなって…
「…いいよ」
「!…え、」
「付き合お、」
部屋に甘い香りが残るなか、あたしはそう頷いた。