心も体も、寒いなら抱いてやる
花蓮がまるで子供に尋ねるように優しく声をかける。

雑種だろうか。

ブルドッグのように顔がくしゃっとしたビィは頭を撫でられ、しょぼしょぼした目で一瞬花蓮を見つめるが、すぐに目を閉じてしまった。

「スタジオに行く前にどうしても動物病院に行くっていうんですけど、時間、まじでギリなんですよ。今日はクライアントのお偉いさんがそろって来るから絶対に遅れるなって社長からも念押しされているし。でも犬を置いていけないって、こいつ、ベソっ面で動かないし。花蓮さん、代わりにビィを病院に連れて行ってくれません?」

「それはだめよ」

きっぱりと花蓮が断る。
< 12 / 209 >

この作品をシェア

pagetop