心も体も、寒いなら抱いてやる
極上のミルフィーユとコーヒーにうっとりしながら、田口が戻ってくるので今月いっぱいでルカのマネージャー業終了だと花蓮に伝える。

「えー、田口くん、もう戻ってきちゃうの？　もう少し入院していればいいのに」と、花蓮はひどいことを言う。

「どっちにしても春休みも終わるし」

「俊だって学校始まるから状況は一緒よ」

「でも、俊くんは田口さんが戻ってきてホッとしてるよ。私、役に立ってないもの」

「そんなことないよ！」

花蓮がむきになって反論したのは根拠があった。


　　俊が少しずつ普通に会話するようになった。

　　ビィもゲロを吐くことがなくなってびくびくとおびえた様子が消えた。

　　そして希沙良社長も言っていたのだ。

　　「ルカはみのりさんと一緒にいると楽しそうね」って。

そうなのだ、俊が少しずつ昔の俊にもどっているのはみのりがいるからだ。

そう花蓮は確信していたのだ。
< 124 / 209 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop