心も体も、寒いなら抱いてやる
「私、ルカのマネージャで、俊くんのマネージャーじゃないもん。もう勤務時間外」

そこでビィが短い脚を蹴って玄関に降り、みのりのそばで鼻をクゥンクゥン鳴らした。

「ビィ、だめだよ。みのりはお前と散歩したくないってさ。ビィのこと嫌いなんだって。残念だな。お前と一緒になんか歩きたくないってよ」

「ちょっと、そんなこと言ってないじゃない。卑怯よ。犬はちゃんと人間の言葉を理解するんだからそんなウソつかないでよ。ビィ、俊くんが言ったこと信じちゃだめよ。ビィのこと、大好きよ」

慌てて足元で見上げるビィに語りかける。

「じゃ、ついてこいよ」

さっきまでルカだったのが嘘のようにジャージの上下に裸足でサンダルをつっかけた俊が命令口調でいいながら、ビィに赤と白のストライプのリードをつけた。

素直についてきてってお願いすればいいのに」と、花蓮があきれて笑った。
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