心も体も、寒いなら抱いてやる
丘を登りきったところは広い広場になっていて、ネットが張られたテニスコートぐらいの大きさの運動場設置されている。

ネットをくぐって誰もいな運動場に入る。

ビィのリードを放して、俊とみのりは端に備えられたベンチに腰をおろした。

自由になったビィは地面を嗅ぎながらあっちこっち走り回っている。

夜のバイトがあるので、5時には家に戻らなければならない。

何気なく時計を見たつもりだが、俊がすかさず「バイト?」と聞いてくる。

なんで知ってるの?と、聞こうと思ったが、花蓮から聞いたに決まっているので、「うん」とだけ答えた。

「かけもちってきつくない? 教授のやつもあるんでしょ?」

「あれはもうすぐ終わるし、俊くんのマネージャーもあと1週間だもの。俊君、よかったね。これでまた安心して車で寝られるよ」

横にいる俊を見て笑ったが、俊は、誰かが残していったソフトボールに夢中になっているビィの姿を目で追っていた。


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